前回は「FIRE」に関して取材を受けたお話でした。
今回はソーシャルレンディング・SBISソーシャルレンディング問題について、
とある新聞社より取材を受けたお話です。
katsusandokatsu.hatenablog.com
<記者の方の担当に驚き>
その新聞社の記者の方は、東京地検特捜部の担当の方ということで、
今回の問題の大きさをあらためて実感しました。
電話での取材で、記者さんの質問に私が回答する形式で行われました。
取材時間は40分ほどでした。
<SBISL問題の経緯>
上記が問題の経緯となりますが、投資家限定情報などもあり詳細は割愛しますが、
雑に一言でまとめると、
「杜撰な管理でファンドの資金が流出した」
ということです。
該当ファンドは不動産ディベロッパーファンド、再生可能エネルギー関連(太陽光発電、メガソーラー)の一部です。
不動産ディベロッパーファンドの一部は2018年11月に募集、貸付が行われており、約2年半の間、本来されるべきファンドの監視や進捗の管理がなされていなかったため、貸付会社が資金を本来の目的に使用せず、それをSBISL側も気づけなかったという事です。
SBISLは金融庁に事故として届け出をし、これが認められれば投資家に対して元本相当額(元本から今までの分配金を差し引いた金額)を返却する、つまり不動産取引での「白紙解除」へ向けて取り組んでいる状況です。
<取材内容について>
ソーシャルレンディングについての基本的な仕組みをお話しし、
一部ファンドのようにSL事業者と貸付先の間にある、
SPC(特別目的会社)があることにより、
ここがブラックボックスのような形となり、
投資家としてその信頼性・安全性などがわからない点、
SPCの制度を利用し悪事を働こうとすればできてしまうスキームが問題なのでは?
と個人的な感想をお話ししました。
SLの投資年数や金額などをお話しし、私は今回の問題の該当ファンドが2ファンドで、投資した経緯ついては、
「株価のように値動きを気にせず分配金を得られること」
「世界的なSDGsの動き、日本でも国策である再生可能エネルギー関連ファンドがあること」
「SBIグループの子会社であるSBIソーシャルレンディングに信頼を置いていたこと」
と回答しました。
特に「SDGs」や「再生可能エネルギー」という注目のワードを利用し、
貸付会社が悪だくみを考えたとしたら、それはあってはならない事とお話ししました。
<反省点について>
お話しする中で、投資家として反省すべき点が何点か思い浮かんだので、申し上げました。
それは、
・SBISLを過信し、内容をよく精査せず「クリック合戦」に参加したこと
・年利6%~7%は投資商品としてはリスクを伴う商品という認識が薄くなっていたこと
・みんながこぞって投資する商品は大丈夫であろうという根拠のない理由
これは今後の投資に活かすべき反省点です。
今回は事故と認められるのであれば、そもそも投資ではないので、
投資失敗には当たらないかもしれませんが、投資リスクの甘さを考え直すチャンスだと思います。
投資家にとっても、投資したファンドやその金額・期間で様々な立場があり色々な意見があると思います。
しかし、今までのSL事業者の問題を考えると、今回のSBISLの対応は
もっとも投資家を保護した例となると思います。
これはSBIホールディングスという巨大な金融グループ会社の子会社という点が大きかったと感じています。
<今後のSL投資について>
印象的な質問のひとつに「もうソーシャルレンディングは懲りましたか?」
という質問がありました。
私は「スキームや中身がよくわからないファンドに関して投資することは少なくなると思います。しかし、よく調べて自分の中で安全性が確認され、償還される可能性が高いと思うファンドには今後も投資したいと思います。」と回答しました。
従来のソーシャルレンディングの中にも、良いファンドはあると思います。
ただ、今回のSBISLや過去のSL業者の事故を考えた際、
ソーシャルレンディングから不動産クラウドファンディングへの流れが加速する可能性は高いと思います。
投資に絶対安全はなく、元本を100%損失補填する商品はありません。
まだ黎明期と言えるソーシャルレンディングと不動産クラウドファンディングは今回の問題を受け、より透明性・安全性の高い投資商品になってくれることを期待します。
今回の取材は自分の反省点をあらためて見つけることができ、その点でもよい経験となりました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。